__________『昭和堂薬局』

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肥満遺伝子

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 日経サイエンスに“姿現す肥満遺伝子”という題目のお正月明けで気にしている方も多い肥満について興味深い記事が載っていたのでご紹介させていただきます。

 

 今日、現代人の肥満が問題視されています。肥満が原因で糖尿病などの生活習慣病が増えてきました。その原因はある遺伝的な変化が原因ではないかというものです。
 人類の祖先となった類人猿は,ある種の酵素の遺伝子が変異した結果、飢餓を生き延びたとみられています。現代における肥満と糖尿病の蔓延は,大昔に生じたこの遺伝子変異のせいである可能性が浮かび上がってきました。
 その遺伝子変異は“ウリカーゼ(尿酸酸化酵素)”という酵素の遺伝子に生じたもので、この“ウリカーゼ”はもともと尿酸を分解する酵素で、この酵素の遺伝子が変異したことによって食べた物を、その場でエネルギーとして燃焼するのではなく脂肪として蓄えられるようになったからだと言っています。しかし、飽食の時代の現在では、この変異が肥満や糖尿病の一因になっているというのです。

 現代の多くの人が慢性的に贅沢な(欧米型)食事を摂り過ぎているため、尿酸を分解する“ウリカーゼ”を持たない人間は尿酸が上昇してしまいます。しかし、食習慣によってこの上昇は変化し、人によってはその食生活で尿酸が上昇したりしなかったりするのです。その原因食品の一つに果糖があげられています。確かに生成された砂糖や加工食品などに使われる異性化糖(ブドウ糖果糖液など)が多く使われています。これらが増えるにつれますます肥満や糖尿病が増えていると指摘しています。これら精製された果糖を減らし、その分新鮮な果物などからとれば、果糖や尿酸の影響を抑えるビタミンCや抗酸化物質が含まれるので様々な病気の予防につながるだろうと述べています。

 

 日経サイエンスで述べている疫学調査や科学的理論については割愛しますが、自然に近い食べ物を食べ、適度に運動することが現代人には必要だと思われます。確かに簡単に摂れる便利な食べ物や飲み物が重宝されていますが、それによって病気が起こっているのであれば、すぐにでも止めたいですよね。


昭和堂薬局 | 2016年1月11日

 

明けましておめでとうございます

通信40号

 

明けましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛顧よろしくお願いします。

昨年末に「やすらぎ通信」が出来上がりましたのでご紹介いたします。

 

 このコラムも6回目を迎えます。前回迄は『陰と陽』、『四季の養生法』についてのお話でした。
 今回は養生の考え方から『風邪の対処法』と『お正月の伝統行事』についてお話します。

 

 中国伝統医学の古典黄帝内経(こうていだいけい)では養生の原則を下記のように示しています。『外からの邪』と『内からの邪』を回避する事により病気を防ぐようにすべきとの教えです。
「古代の修養の道理を深く理解した人は、人々を教え導くにあたって常にこう述べたものです。『外界の虚邪賊風(きょじゃぞくふう)に注意して回避すべきときに回避すると共に、心がけは安らかで静かであるべきで、貪欲であったり、妄想したりしてはならない。そうすれば真気が調和し、精神もまた内を守ってすりへり散じることはない。このようであれば病が襲うということがあろうか』と。そのため人々の心はきわめて閑かで、欲望は少なく、心境は安定していて、恐れることはありませんでした。肉体を働かせても過度に疲労することはなく、正気は治まり順調だったのです。それぞれの望むところは満たされ、食べ物をおいしく思い、着たものを心地よく思い、習わしを楽しみ、地位の高低をうらやむことがなく、人々はいたって素朴で誠実でした。正しくない嗜好も彼らの耳目をゆりうごかさず、淫らな邪説も彼らの心情をまどわすことはなかったのです。愚鈍、聡明、有能または不肖な人を問わず何事に対してもまったく恐れることはありませんでした。してみると彼らがあらゆる点で、養生の道理に合致していたことがおわかりでしょう。だから皆が年百歳に達することができて、しかも動作にも少しも衰えたところがなかったのです。これは彼らが養生の道理をすべて掌握していたからであり、こうであってはじめて疾病の危害を召かずにすむのです」。

 

 今の我々を取り巻く環境を見てみると、「あれ?」と思うこと多くないですか?例えば冬に夏野菜がスーパーの店頭に普通にあったり、冬でもアイスクリームを食べている人がいたり…。
 また逆に夏にクーラーで体を冷やしすぎてカイロを付けている人はいませんか。よくみると案外一年を通して季節感がない事をしているのに気がつきます。
 本来、夏は汗をかき冬は汗をかかないものです。春・夏は陽の季節、秋・冬は陰の季節です。近年は地球温暖化などいわれていますが、基本的にはこの原則は二千年前と変わっていません。春・夏は陽気が盛んですから汗をかいて熱を発散してあげなければいけません。しかし、秋・冬は陰が盛んで汗をかいてエネルギーを出してはいけないのです。冬は汗が出るほど暖房をしてはいけないのです。汗をかいてエネルギーである『気』が不足すると、バリア機能が衰えてその隙に寒邪が入り寒気がするような風邪を引いてしまいます。

 

●風邪の対処法

 風邪には風寒邪、風熱邪と風湿邪があります。
 これらの特徴として、風寒邪は寒気、風熱邪はのど痛、風湿邪は下痢・吐き気となり、冬に多い風邪は風寒邪となります。寒邪には、ものを収縮させる性質があるため血管が収縮されて気血の巡りが滞り、手足の冷え、悪寒、節々のこわばりや痛みを起します。毛穴も収縮するため、体の中の熱を外へ放出できなくなり、汗が出ないで悪寒発熱をするようになります。このときは風寒邪を追い出す葛根湯などを使います。葛根湯は有名ですからご存知の方も多いと思います。
 傷寒論という古典に「太陽病、項背強張ること几几(きき)、汗無く悪寒するは、葛根湯これを主る」とある通り寒気がして体の節々が痛み、汗をかいていない風邪の初期に使う処方です。
 漢方薬の特徴は、自然治癒力(自分で病気を治す力)を高めて、免疫力を上げて速やかに治す作用があります。風邪を引きそうな時に早めに飲んで風邪を引かずにすむことが出来ます。しかし、体が弱っている人は、寒邪に侵されても毛穴を閉める力が皮膚にない人もいます。
 じっとり汗が出ていて寒気や発熱が出そうと言う人は、葛根湯を飲んではいけません。この時葛根湯を飲むと風邪が返って悪化する場合もあります。このような人は桂枝湯という薬になります。風邪ならば何でも葛根湯ではないのですよ。

 

●お正月の伝統行事
 お正月の伝統的な行事には、それぞれ意味があります。昨年は『おせち料理』についてお話したので、今回は『お屠蘇』、『鏡開き』、『七草粥』についてお話します。

 

御屠蘇(おとそ)
 日本には元旦の朝、家族一同がそろって屠蘇酒を飲む風習があります。1年間の長寿健康を祈願する慣わしです。数種類の生薬を調合した屠蘇散を、清酒やみりんに一晩漬け込むお祝いのお酒です。諸説ありますが、屠蘇とは「邪気を屠(ほふ)り、心身を蘇らせる」ところから名付けられたと言います。悪鬼・疫病を治し、邪気・毒気を払うとされて、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」と言われ、日本の正月の膳などに呑まれます。

 

鏡開き(かがみびらき)
 鏡開きは、一般的には、歳神様へのお供えが松の内(1月7日)に終わった後、1月11日に行われます。お供えしてあった鏡もちを手や木槌で割る正月行事。正月、神様は全ての人や物に新しい生命を与えるために現れると伝えられています。つまり、「歳をとる」ということは一年に一度新たに生まれ変わるということだったのです。そして、その歳神様の霊力を移しとる道具が鏡餅でした。この鏡餅をお供えし、そのお餅を食べることによって、私たちは新しい生命を歳神様から頂くことが出来ると考えられてきました。1年の無事を感謝する気持ちを込め、更に新年の健康を祈る気持ちは非常に歴史のある日本人固有の文化といえますね。

 

七草粥(ななくさがゆ)
 正月7日の朝、七草の入ったお粥を食べて無病息災を願う風習です。その歴史は古く平安時代から伝わる風習です。江戸時代より一般に定着し江戸幕府の公式行事となり、将軍以下全ての武士が七草粥を食べて『人日(じんじつ)の節句』を祝う慣わしとなりました。
 人日とは、文字通り “人の日” の意味。中国、前漢の時代、東方朔(とうぼうさく)が記した占いの書には、『正月1日に鶏、2日に狗(いぬ)、3日に羊、4日に猪(豚)、5日に牛、6日に馬、7日に人、8日に穀を占ってその日が晴天ならば吉、雨天ならば凶の兆しである』とされていました。また、それぞれの日にその動物を殺さない風習があります。7日目を人の日(人日)とし、犯罪者に対する刑罰は行わないことにしていました。ですから、7日の人の日には邪気を祓うために、七草の入ったお粥を食べ、一年の無事を祈ったのだともいわれています。
 

 七草粥に入れるのは、いわゆる春の七草。初春の野から摘んできた野草の生命力を食して、邪気を祓うということでしょうか。古来、宮中や神社でもこの日七種の野草を摘む行事を “若菜摘み” といい、多くの歌に詠まれたり、能楽(のうがく)のワンシーンとしても登場しています。でもお正月には、まだ野草は芽吹いていないのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも旧暦でのお正月は、現在の2月頃。まだ寒さも厳しいながら、陽射しには春を感じる頃です。長い冬が終わりに近付き、野に出て春いちばんの息吹きを持ち帰る、七草粥の行事は新しい年が始まる喜びの行事だったと想像できるのではないでしょうか。
そして現代の私たちにとっても、1月7日に食べる七草粥は、おせち料理で疲れた胃をやさしくいたわる、理にかなった食べ物だといえるでしょう。おもちなどを食べすぎてついつい青菜が不足がちな時期ですからね。七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、それから、スズナ、スズシロですがそれぞれに、効能効果があります。

 

 まず『セリ』には神経痛やリュウマチに効果があります。『ナズナ』は別名ぺんぺん草です。動脈硬化や高血圧に効きます。『ゴギョウ』は咳止めや痰を取りやすくします。この季節風邪の予防には、ピッタリです。ゴギョウには胃の炎症を抑えるという効能もあります。そのほか『ハコベラ』には整腸作用や口臭予防の効果があり、『ホトケノザ』には食中毒や筋肉痛をなくす効果があります。そして『スズナ』、カブです。カブは漢方の分類では、苦くて辛くて甘くて大根と違い温める作用があることです。胃腸を温めて内臓を丈夫にする性質があります。冷えから来る腹痛もやわらげます。体内にある余分な水分を取り除き、解毒作用があります。特に食べたものの滞りを除き、ガスを抜く作用は注目されています。お腹がよく張るという方はよくお召し上がり下さい。最後は『スズシロ』、大根ですが、消化不良、腹が張り、胃が痛むときは、大根をおろしておろし汁をコップ1杯絞り頂いておりました。便秘に利く整腸作用があり、消化酵素が含まれます。まさにお正月の弱った体にぴったりの食べ物ですね。


昭和堂薬局 | 2016年1月6日

 

今年も昭和堂薬局を御愛顧いただきありがとうございました

 

 皆様にとって平成27年はどんな年だったでしょうか?嬉しいことや楽しいことがあった方もいらっしゃれば、辛いことがあった方もいらっしゃると思います。

 私達、昭和堂薬局のスタッフが少しでも皆様の気持ちやお身体のお役に立てていたのであれば幸いです。

 

 今年最後のコラムは、もうすぐ新年を迎えるに当たり、東洋医学が教えてくれる年齢と身体の変化について書いてみようと思います。(養命酒のCMで有名になったお話です。)

 東洋医学の教科書ともいえる文献『黄帝内経(こうていだいけい)』に「女性は7の倍数」「男性は8の倍数」で節目を迎え、身体に変化が訪れるという記述があります。

 『黄帝内経(こうていだいけい)』は今から約2000年前に書かれた書物で、伝説上の帝王である“黄帝(こうてい)”と医学界の師である“岐伯(きはく)”が問答する形によって、東洋医学の思想や生活の養生を説いた書物で、“腎”から見た身体の変化として女性は7歳~49歳までを7年周期で、男性は8歳~64歳までを8年周期で表しています。

※腎は東洋医学において成長、発育、生殖にかかわる臓とされています。

これに基づくと、女性は

7歳~13歳:歯が生えかわり、髪が長くなる

14歳~20歳:月経が始まって、子を産めるようになる

21歳~27歳:身体が成熟し、背丈も伸びきる

28歳~34歳:筋骨がしっかりし、髪の長さが極まり、身体が最も充実する

35歳~42歳:顔の色艶に陰りが出て、髪や頬のハリに衰えが現れる

43歳~48歳:顔がやつれ、髪に白いもの(白髪)が混じり始める

49歳以降:肉体が衰え始め、閉経を迎える

男性は

8歳~15歳:髪が長くなり、歯が永久歯に生えかわる

16歳~23歳:精通を迎え、子を作ることができるようになる

24歳~31歳:筋骨がしっかりし、背丈も伸びて最も盛んになる

32歳~39歳:筋肉が強壮となり、肌肉が豊かでたくましくなる

40歳~47歳:体力や毛髪の成長に陰りが見え始める

48歳~55歳:肉体的に衰えが始まる。シワや白髪が目立ち始める

56歳~63歳:生殖能力が弱まり、身体全体の老化が見え始める

64歳以降:身体は衰え、歯や髪が抜ける

 

 2000年前に書かれた黄帝内経に示してある人の身体の変化では、女性は49歳で閉経を迎えるとなっています。現代女性の一般的な閉経年齢も50歳前後でありほとんど変わりがありません。女性の身体が28歳~34歳、男性が32歳~39歳でピークを迎えるという点においても現代の医学的な認識とほぼ同じということがいえると思います。

 養命酒のCMで女性は7の倍数で変わるということをお知りになった方も多いと思いますが、補足させていただくと、黄帝内経の年齢は数え年ですので、実年齢にプラス1歳としてそれぞれの項目に当てはめなくてはいけません。(正確にはその年の1月1日~誕生日前日までは実年齢プラス2歳、誕生日~その年の12月31日までは実年齢プラス1歳が数え年となります。)

各項目よりも年齢的に早くその現象が現れていれば成長、発育(=老化)が早いことになります。

 細かい養生を上げていくとキリが無くなってしまいますが、適切な食事や睡眠、ストレスの少ない生活を心掛けて来年も皆様にとって良い年になることをお祈りいたします。

 

 昭和堂薬局スタッフ一同、平成28年も皆様の気持ちや健康のお役にたてるよう精進してまいりますので来年もまたご愛顧いただけますようお願い申し上げます。

 

なお新年は1月2日より営業いたします。


昭和堂薬局 | 2015年12月30日

 

怖い心筋梗塞

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 「テラスハウス」出演していた31歳の男性が心筋梗塞で亡くなったことは、記憶に新しいことではないでしょうか。私の身近な人たちがこの病気で亡くなったり、意識不明になったりしたので、皆さんの予防につながってくれたらと思いこのコラムを書いています。

 

 この病気は、心筋に栄養や酸素を送っている冠状動脈が何らかの原因で通りが悪くなり心筋が壊死してしまう病気です。

 

 独立法人がん研究センターのコホート研究(疫学研究)では、約4万人の日本人のデータから魚の摂取量と心筋梗塞の関係を検討し、2006年に発表しています。これによると、高齢になるほどリスクが上がり、また魚の摂取量が多い人ほどリスクが下がっています。
 元々、魚に含まれるω3系の脂質が注目されたのは、グリーンランドのイヌイットに心筋梗塞が少なく、彼らの食生活を調べたところ、ω3系脂質を多く含む食品を摂取していたことからでした。動物実験でも、マウスに心肥大・心不全を実験的に起させ、ω3系脂肪酸の心保護作用を解析したものでは、体内のω3系脂肪酸レベルが上昇するほど心筋の線維化が抑制されたそうです。

 

 もう一方では日本人の食の欧米化でω6系脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取量が多くなっていることも、心筋梗塞を含め多くの炎症性疾患が多くなっている原因の一つだと思われます。

 

 最近では、健康番組でω3系の脂質を紹介したことでエゴマ油などのω3系脂肪酸を多く含む油が人気なようですが、今の食生活にエゴマ油をプラスするのではなく、ω6系脂肪酸が多い場合にはそれを少なくしてエゴマ油などのω3系脂肪酸を摂取して欲しいのです。

 

 我々の食生活の中でω6系の脂肪酸は多く使われています。例えば加工食品の表示に植物油脂という文字がよく出てきますが、これもω6系脂肪酸です。昔は健康にいいといわれていたマーガリンやコーヒ―フレッシュにも使われています。インスタントラーメンやカレールウなど挙げればきりがないほどです。

 

 また、現代は飽食の時代と言われています。それによる肥満も炎症系の病気になりやすくなります。肥満になってくると白色脂肪細胞がうまく働けなくなり、身体を守るアディポネクチンというホルモンの分泌量は低くなり、逆にTNF-αなどの炎症性物質を多く出し始めます。このことにより、炎症性の病気である糖尿病や血管系の病気などになりやすくなってしまうのです。

 

 自分の食生活を見直してみてください。魚は適度に食べていますか?加工食品やインスタント食品多くないですか?お腹いっぱいに食べていませんか?外食や買い弁当ばかりも問題です。

 

 健康にいい食事を目指すとよくベジタリアンになってしまう人がいらっしゃいますが、これもまたバランスの悪い食生活です。

ご自身や身内の方が食材から作る食事が基本です。どうしても買い弁当や外食になってしまう場合はサプリメントで補うことも仕方のないことだと思いますが、これも質が問題です。しかし、基本は食事で予防することが大切です。


昭和堂薬局 | 2015年12月8日

 

炎症と不妊症

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 女性の生殖器系の炎症が不妊症の原因の可能性の一つとして挙げられています。その炎症を発生させる代表的な物質がプロスタグランジンという脂質メディエーターです。このプロスタグランジンは痛みを起したり、子宮を収縮させたりします。一般的に痛み止めはこのプロスタグランジンの生成をブロックすることで痛みを抑えています。

 

 以前、このコラムで書きましたが、排卵は卵子だけが卵胞から飛び出るのではなく、卵丘細胞と卵丘細胞が分泌したヒアルロン酸を主成分にした細胞外マトリクスが卵子を守る形で排卵されて、排卵時の衝撃やプロテアーゼ(分解酵素)などから卵子を守ります。その後、卵管膨大部で精子と出会うと、精子は精子自体が持っている酵素でヒアルロン酸を分解しながら卵子に到達します。このときに同時並行で起こっている反応として、排卵時にはケモカインという物質が卵丘複合体を固くして守り、その後、精子と出会う頃にはプロスタグランジンにより卵丘複合体がほぐされて、受精を促しているのです。

 

 排卵前後で痛み止めを飲むと受精が阻害されることがいわれるのは、このプロスタグランジンが十分働けないためなのです。

 

 しかし、このプロスタグランジンは妊娠過程において良いことばかりをしているわけではありません。不妊症につながる代表的な疾患に子宮内膜症があります。子宮内膜症は子宮内腔に存在するはずの子宮内膜が卵管や卵巣、腹腔といった異なる場所で子宮内膜が増殖してしまう疾患です。このとき、子宮内膜細胞などでプロスタグランジンを作る酵素が亢進し、結果的にできてしまったプロスタグランジンの刺激により子宮内膜細胞自体がエストラジオール(卵胞ホルモン)を産生して、更に子宮内膜を増殖しているのです。

 

 では、どうしたら良いのでしょうか?

 

 子宝希望の場合は、むやみに痛み止めを飲まないほうが良いと考えられます。(特に排卵前後)
プロスタグランジンは脂肪酸から作られる物質です。主に大豆油やゴマ油に含まれるリノール酸から作られます。この系統をω6系脂肪酸といい、現代の人達が好む加工食品などに多く使われています。そしてその加工食品の中の油は熱や酸化によってトランス脂肪酸が多く含まれています。このトランス脂肪酸からはプロスタグランジンはできないようです。しかし、このトランス脂肪酸は炎症の原因ともいわれています。

 

 いい働きをする反面、痛みや炎症を起こすプロスタグランジンなどの対極にある脂質がシソ油や亜麻仁油のω3系脂肪酸です。これらの脂肪酸をバランスよく摂取して過剰に働くことを防いであげるといいですね。

 

 どうしても、痛み止めが必要だったり、すでに子宮内膜症になってしまっている場合は、漢方薬で対応することもできますのでご相談ください。

 

 

 


昭和堂薬局 | 2015年11月10日

 

養生のすすめ

井上先生用 五行

 

 黄帝内経という数千年前の書籍にこんな一文があります。

「天師に問いて曰く、余聞く、上古の人、春秋皆百歳を度えて、しかも動作衰えず。今時の人、年半百にして動作皆衰うる者は、時世異なるか、人將たこれを失するか。岐伯対えて曰く、上古の人、其の道を知る者は、陰陽に法り、術数に和し、食飲に節あり、起居に常あり、妄りに労を作さず。故に能く形と神と倶にして、尽く其の天年を終え、百歳を度えて乃ち去る。今時の人は然らざるなり。酒を以て漿となし、妄を以て常となし、酔いて以て房に入り、欲を以て其の精を竭くし、以て其の真を耗散す。満を持するを知らず、時ならずして神を御す。務めて其の心を快にし、生楽に逆い、起居に節なし。故に半百にして衰うるなり。」(黄帝内経上古天真論篇)

 これは、黄帝が自分のお抱えの医師との問答を文章にしたもので、簡単に言うと「昔の人は百歳まで生きていたのに、今の人達はなぜ五十歳くらいで亡くなるのはなぜか?」お医者さんは「昔の人は養生をわきまえて、節度思って生活していたが、今の人は酒を水のように飲み、良くないことを平気でして、酒を飲んでは色事をして精気を消耗してしまい、精気を満たしておくことをしらず、一時の快楽で養生をしないので五十歳で衰えてしますのです。」と答えています。

 

 数千年前の会話なのに、今の時代にも言えることですよね。

食べ物は簡単便利なものがもてはやされて、インスタント食品や加工食品が飛ぶように売れ、身体に悪いことと気がつかずに、成長期の子供にも食べさせる。体調が悪くなって相談に来て、それを指摘され初めて気がつく、これでいいのでしょうか?

体調が悪くなると、化学物質だらけのサプリメントを飲んでみる。もっと体調悪くなりませんか?

サプリメントがすべていけないと言っているわけではありません。自然に近いものを選ぶべきですし、サプリメントを飲んでいれば、食事がむちゃくちゃでいいわけではありません。

 

 このコラムで季節の養生法を解説してきました。ちょっとそれを実践してみませんか?

もしかしたら、それだけで体調良くなるかもしれませんよ!


昭和堂薬局 | 2015年11月2日

 

やすらぎ通信 秋彼岸

通信39号昨年始めた「やすらぎ通信」のコラム第5弾です。

 

秋の養生訓

 

 秋は五穀豊穣の季節です。私たち日本人が主食としてきた米や粟、黍、稗などの穀物が実りのときを迎えます。そして、残暑が終わり、夏に疲れた胃腸の調子も整って食欲が増す季節です。空は高く、空気は澄み、健康や体力の回復には良いので、「食欲の秋」「スポーツの秋」といったりするのはこのためです。しかし、夏から冬に変わっていく過渡期であるため、日中と朝夕の気温差が激しく、同時に空気は非常に乾燥してきます。そういった面では体調管理が難しい時期でもあります。

 

 秋の三箇月は、万物が成熟し、収穫の季節である。天気はすでに涼しく、風の音は強く急で、地(ち)気(き)は清(せい)粛(しゅく)として、万物は色を変える。人々は当然早寝早起きすべきである。鶏と同じように、夜明けとともに起き、空が暗くなると眠り、心を安らかに静かにさせて、秋の粛殺(しゅくさつ)の気候の人体に対する影響を緩和(かんわ)させ、神気(しんき)を収(しゅう)徹(てつ)して、秋の粛殺(しゅくさつ)の気を和(なご)ませる。心を外にはたらかせないで、肺気を清浄に保持しなければならない。これが秋に適応して、「収気」を保養する道理である。もしこの道理に反すると、肺気を損傷し、冬になって食物を消化しきれないで下痢を病んでしまう。人が冬の潜伏(せんぷく)閉蔵(へいぞう)するという気に適応する努(つとめ)を減少させてしまうのである。

「黄帝内経」・『素問・四気調神大論』:中国伝統医学の古典より

 

○秋は「肺」と関係が深い
 秋は「肺」と関係が深く、肺は皮膚や体毛をコントロールし、肺の異常は空気の出入りする鼻に表れるとされます。また、肺は五臓の中で一番高い場所にあるので、「五臓六腑の蓋」と呼ばれ、気管やのどを通じて外界に直接接し、外気の影響を受けやすい臓器です。そのため、秋は大気の乾燥による影響を受け易く、秋に起こりやすい咳、鼻炎、喘息、皮膚のかさつきなどの症状は、乾燥した大気を取り込むことにより肺が乾くことが原因で起こるのです。

 

 また、「肺」は「大腸」と表裏の関係にあり、肺と大腸は互いに連動しています。そのため、気温が低下して皮膚が閉じると鼻や口などの呼吸器とともに、大腸も余分な水分や老廃物を体外に出さなければならず、スムーズに排泄されずに滞った毒素は、ニキビや吹き出物、シミとして皮膚に現れるようになります。このように、「肺」と「大腸」は密接な関係にあり、「肺」の支配下にある皮膚に症状が現れるのです。

 

 東洋医薬学でいう「肺」は、肺単体のことではなく、その影響を受ける皮膚や鼻、表裏一体の関係にある大腸を含めた部分を示し、そのおもな働きは、呼吸によって気(エネルギー)を取り込み、全身に運搬し、臓腑器官の働きを助け、体液を調節し維持することとされます。そのため、ひとたび「肺」が「燥邪」に侵されれば、その異常は、咳、疵、鼻づまり、くしゃみ、鼻炎、喘息、便秘、下痢、腹痛、皮膚や頭髪の乾燥など、幅広い症状として出現するのです。

 

 秋の養生は、こうした大気の乾燥から体を守り、冬に備えて免疫力を高めることが大切なのです。

 

○肺を補う辛味の食材
 辛味の食べ物は、大気の乾燥や気温の低下で働きの弱まった肺や呼吸器の負担を軽減する効用があります。「燥邪」による症状を未然に防ぎ、「肺・大腸」を補う働きをもつのが辛味の食材です。ねぎ、しょうが、わさび、唐辛子などの薬味や香辛料はもちろん、東洋医学では、大根、たまねぎ、しそ、にらなど、ほのかに辛味のある食材も辛味に配当します。ビール以外の日本酒や焼酎、ウイスキー、ワインなどのアルコールも辛味に配当されます。

 

 辛味の食材は、体を温めて余分な水分や滞った気の流れを促し、発散を助ける作用があります。お酒がストレス解消に利用されるのも発散作用があるからです。風邪の初期に、辛味の酒としょうが、卵を合わせた「卵酒」が飲まれるのも、皮膚からの熱の発散、発汗を活発にするためです。

 

 辛味はまた、大腸の働きを活性化して便通を改善する作用もあります。皮膚や呼吸器のみならず、肺と表裏一体の関係にある大腸にも働きかけて、秋に弱りやすい臓腑器官を手助けしているのです。

 

 「肺・大腸」が弱りやすい秋は、辛味の食材で自分自身を補うとともに、相剋の関係にあたる「肝・胆」を、酸味で保護する必要があります。梅干しや酢らっきょう、酢の物などの酸味の食べ物で「肝・胆」を補い、辛味の食害によって傷つくのをあらかじめ防ぐことが大切です。酸味は肝臓の働きを正常にして、疲労回復にも効果があります。

 

 辛味に酸味を添えることは、ピリッとした辛味をマイルドにする調理のルールでもあります。からしの強い刺激をマイルドにするために、からしは食酢で溶くのが基本です。焼き魚には大根おろしに加えて、すだちをしぼり、焼き鳥には七味唐辛子と一緒にレモン汁をかけるなど、辛味に酸味の食材を添える例はよく見られます。

 

○肺を潤す旬の昧覚
 辛味の食材以外にも、秋にとれる旬の食べ物には、「肺・大腸」の働きを補うものがたくさんあります。
そのひとつが梨です。年中見ることの多くなった果物のなかで、梨は店頭にのぼる時期も限られ、旬を感じることのできる数少ない果物のひとつではないでしょうか。最近は収穫が早まり、夏の果物というイメージが強くなりましたが、本来は秋が旬。9月から11月にかけて収穫されます。水分をたっぷり含み、シャリシャリとみずみずしい梨には、肌に潤いを与え、のどの渇きを止め、声がれや咳を止める効果があります。まさに「燥邪」による秋のトラブルを防ぐのにふさわしい旬の食べ物といえましょう。

 

 同じく秋が旬の果物である柿も、咳を抑え、口の渇きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助けます。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、鼻やのどの粘膜を健やかに保ち、免疫力を高めるビタミンCも豊富に含み、寒さの厳しくなる冬に向けて、風邪をひきにくい体をつくるのに大いに役立ちます。

 

 また、いも類や大根をはじめとする根菜類も「肺・大腸」に働きかける旬の食材です。たとえばさつまいもは口の渇きを止めて肺を潤すと同時に、便通を改善して大腸の働きも活発にします。豊富な食物繊維と緩下作用のあるヤラビンという物質の相乗効果により、腸内環境を整えて便通を促してくれます。

 

 晩秋から冬にかけうまみが増し、一年でもっともおいしくなる大根は、ピリリとした辛みが特徴の辛味の食材で、「肺・大腸」を助け、痰を切って外に排出する働きがあります。余分な熱が体内にこもって咳や痰が出る場合に有効です。また、大根が消化によいのは、でんぷんを分解するジアスターゼなどの消化酵素が豊富に含まれているからです。れんこんもまた肺を潤し、乾燥して熱を帯びた肺の熱を取り去る効果があります。れんこんの粘り気のもとであるムチンは、粘膜を保護して丈夫にする効果があるため、鼻やのどの乾燥を防いで働きを高め、病原菌の侵入を防ぎます。

 

 こうしてみると、秋にとれる旬の食べ物に、「肺」を潤し補うものが多いことがわかります。葉野菜や熱を冷ます山菜などに食効を求めた春夏の熱い季節とは、体にとって必要なものが明らかに異なるわけです。その時季にとれる食べ物は、その時季に体の必要とする養分を十分に備え、その時季に起きやすい症状を防ぐ働きをもっているのです。反対に、春夏にとれる野菜や果物類のように、水分が多く、体を冷やす食べ物は、秋口からは控えるようにしなければなりません。

 

 旬の食べ物を摂ることや日本の伝統料理にはそれぞれ意味があるんですよ。


昭和堂薬局 | 2015年9月24日

 

やすらぎ通信 お盆

通信38号

 

昨年9月にスタートした「やすらぎ通信」の第4弾です。

 

仏教では、身心一如(しんじんいちにょ)といわれ、身体と心・精神は分けて考えることはできません。身体と心のバランスを保つという意味で、仏教と東洋医学は、似通っている点があるのではないかと思います。身体と心の健康について学んでいきたいと思います。
前回は、東洋医学における春の養生訓をご紹介致しました。今回は夏の養生訓です。

 

東洋医学では夏の養生訓について次ぎのように述べられています。

 

夏の三箇月は万物が繁栄し、秀麗(しゅうれい)となる季節で、天の気が下降し地の気は上昇して、天の気と地の気は上下交わり合い、万物も花開き実を結ぶ。人々は少し遅く寝て少し早く起きるべきである。夏の日の長さ、暑さを厭(いと)うことなく、気持ちを愉快にすべきで、怒ってはならない。花のある植物と同じように満開にさせ、体内の陽気を外に向かって開き通じ発散することができるようにさせるのである。これがつまり、夏に適応し「長気」を保護する道理である。もし、この道理に反すると、心気を損傷し、秋になって瘧疾(ぎゃくしつ)を発することになり、「収気」に適応する能力が減少して、冬になると再び病を発する可能性がある。
「黄帝内経」(こうていだいけい)・『素問・四気調神大論』(そもん・しきちょうしんだいろん):中国伝統医学の古典より

 

夏は陽の気、言い換えると太陽の作用が最大のときであり、エネルギー(東洋医学では気といいます)も最も強くなる季節です。「木・火・土・金・水」の五行のうち、「火」にあたるのが夏。熱く、明るく、上へ上へと向かって広がり、燃えさかる「火」のイメージです。人体の中で、「火」を司っているのは「心」です。東洋医薬学には「心は血脈を司り、神を蔵し、神志を主る」という働きがあります。「心」の働きは血液循環をコントロールしています。同時に「神」の意味は人間の精神や意識・思考活動、いわば「こころ」をさします。私たちの精神活動のすべては「心」がコントロールしているのです。夏の暑さが厳しくなり、陽の気が最大になると、この「心」の働きも亢進し、オーバーヒートしやすくなります。
私たちの体は、暑くなると汗を出して体内の熱を逃がし、上手に体温を調節するようになっています。しかし汗は同時に血液中の水分とミネラル分も一緒に排出してしまうため、血液の濃度は高くなり、ドロドロと流れにくい状態になります。汗をかけばかくほど体温は下がって涼しく感じられますが、一方で心臓は、流れにくい血液を全身に運ぶためにフル活動しているわけです。
「心」がオーバーヒートすると胸が苦しくなり、脈が早く打つ頻脈や不規則になる不整脈を起こしやすくなります。血液循環も悪くなり、動悸・息切れ・不眠・動脈硬化、ひいては心筋梗塞などの心疾患につながりかねません。

 

○夏の「暑邪」と「湿邪」
東洋医薬学では夏の暑さも病因のひとつと考え、これを「暑(熱)邪」と呼んでいます。「暑(熱)邪」に侵されると、体がほてる、のぼせる、息切れがする、寝つけないなどの熱症状が出現します。汗が多くなって必要な体液やエネルギー(気)も出てしまうため、体力が奪われて非常に消耗し、熱中症などになりやすくなってしまいます。
日本の夏のもう一つの特徴が高い湿度です。この高い湿度がさらに私たちの体に悪影響をもたらします。これを「湿邪」といいます。夏季は暑さのため、冷たい飲み物や食べ物を摂ることが多くなりますが、これも胃腸にダメージを与える原因です。「胃は湿を嫌い、燥を好む」といわれ、冷たい飲み物は、のど越しはいいものの、胃腸内の湿度を高めて、冷やすために働きが弱まり、消化不良、食欲不振、下痢、だるさなどの胃腸障害を起こすことになります。

 

湿度の影響は全身にもおよびます。水分の摂り過ぎで余分な水分が体内に滞るために、筋肉や関節が冷えて、むくみやだるさ、痛みを招くのです。とくに汗をかいたあとに冷房で冷えたり、長い時間、手足を冷気にさらしたりすると、とたんに四肢がだるく感じられます。湿気が筋肉や関節にとどまると、筋肉や関節が縮んでしまいこむら返りや関節痛を起こすこともあります。梅雨時などに腰痛を起こしたり、首を寝違えたりする人が多くなるのも「湿邪」の影響です。

 

東洋医学の考え方で、夏を健康に過ごすための食べ物は、「体を冷やす」食べ物を取ることよりも、夏は熱がこもりやすいので、「体内の熱を冷ます」食べ物を取りましょうと言うことになります。体内の熱を冷ます食べ物の代表が、「苦味」の食材です。それと苦味には、物を下におろす作用(消化作用)があります。まさに夏の一杯のビールは、その代表と言えますね。
ふきのとうやうどのように、まだ肌寒い春先にとれる苦味は、体を温める温性の食材が多いのに対し、夏にとれる苦味の野菜は、寒涼性のものがほとんどです。これら苦味のある食物は、強心、消炎、止血、解熱、鎮痛作用があり、体内の熱を冷まして、夏にオーバーヒートしやすい「心」の高ぶりを鎮める効用があります。逆に働きすぎで疲弊した「心」を補い、正常に戻す作用もあるとされます。
夏の炎暑に苦味のホップが入ったビールが喜ばれ、鹿児島や宮崎、沖縄などの南の地域でゴーヤ料理が郷土食として食べられるのも、暑気を避ける生活の知恵といえるのです。

 

○胃腸を冷やす苦味の食材
体内の熱を冷ます夏にふさわしい苦味の食材ですが、摂りすぎると胃腸を冷やす食害があります。気温が低くなる秋冬はもちろん、冷え性の人や胃腸の弱い人も摂りすぎには注意が必要です。「胃は湿を嫌い、燥を好む」ため、冷やしすぎは機能の低下を招きます。苦味による胃腸の冷えを未然に防ぐため、苦味には温める作用がある辛味の食材を組み合わせるのです。
しょうが、唐辛子、からし、わさび、ねぎ、しそ。これらスパイスや薬味といわれる食材は、すべて辛味に属します。スパイスの利いたカレーを食べると、顔から汗が出てくるように、辛味成分は体を温めて、体内にこもっている熱気や余分な水分を発散して体温を調節する効果があります。同時に、大腸や呼吸器を活性化させる働きもあるので酷暑のインドで、カレーが常食されるのも、暑さから体を守るための食習慣にほかなりません。たっぷり含まれている辛味が胃腸を温め、食欲を増進し、発汗を促すため、胃腸が疲れやすい夏場にはぴったりです。

 

○旬の食材で体の熱を冷ます
苦味のほかにも体の熱を冷ますのに最適なものが、スイカやトマト、きゅうり、なす、メロン、冬瓜など、夏に旬を迎える食材です。夏が旬の野菜や果物には、胃腸の働きを補い、体の熱を冷ます作用があります。たとえば、なすは「脾・胃」を補う甘味に属し、体を冷やす寒性の食材です。「秋なすび嫁に食わすな」ということわざがありますが、これは、「なすは体を冷やす作用が強いため、これから子どもを産む嫁には食べさせないほうがよい」という姑の思いやりを表したものです。ここでいう秋とは旧暦の九月頃のことで、現在の八月をさします。暑い季節には、体を冷やす寒涼性の作物が、自然に作られるようになっているのです。まさに夏の食材は、暑さから体を守ってくれるのです。水分が多く含まれる夏野菜や果物は、のどの渇きを癒すのにも最適です。汗として流れ出た水分を補充すると同時に排尿を促し、体内の水分代謝を高める効果もあります。汗と一緒に排出されるビタミンやミネラルを補うこともできます。暑さでのどが渇いたときは、冷たい清涼飲料水を飲むよりも夏野菜や果物を摂れば、体に栄養を与えながら水分補給ができるのです。私は、トマトが食べられないのですが、なぜかトマトソースは食べられます。以前母が言っていたのですが、子供のころはよくトマトを食べていたそうです。そのことを考えると、胃腸が弱く、冷え性の私は知らず知らずに体が冷える生トマトを食べず、温めて食べるトマトソースは食べていたのかもしれません。

PowerPoint プレゼンテーション

 


昭和堂薬局 | 2015年6月29日

 

夏の養生訓

 

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 子供たちの夏休みが始まる頃、私たちは夏を感じますが、今年の二十四節気では5月6日の立夏から自然界は春から夏へと変化し、6月22日が夏至にあたり昼間の長さが一番長くなる頃で、暑さのピークを迎えるのは7月23日の大暑となります。
 春から夏にかけて気温が上昇するように、夏になると私たちの身体や血を動かしている陽気も盛んになるのですが、日本は島国で周りを海で囲まれているため湿度が高く、最近ではヒートアイランド現象や温暖化などで年々暑さが厳しくなっており、室内はエアコンで冷えやすくなっていますので、体温調節が非常に難しくなってきています。

 上手に夏を過ごすことが難しい環境となりますが、この時期の養生が秋~冬の体調に大きな影響を与えるといわれています。

 

「万物は春に生じ(誕生)、夏に長じ(成長)、秋に収め(収穫)、冬に蔵す(貯蔵)」

 

 夏は成長の季節ということになります。
 夏は陽気が盛んになるため大量の汗をかき、身体にとって必要な水(東洋医学では津液といいます。)が減少する時期で、水分の補給は大切ですが、あまり冷たくないものをこまめにチョコチョコと飲むのが基本です。
 口の中や喉は外気に触れることが多いため暑さを感じて、冷たいものをついつい飲みたくなりますが、喉より先にある臓腑は冷えてしまうとその機能が低下してしまい、身体にとって必要な気・血・津液が作られなくなり、夏バテの原因となるため、冷たすぎるものの摂り過ぎは注意しなくてはなりません。
 また、夏の湿度も胃腸機能を低下させます。この時期に味の濃いものや油の強い食べ物はさらに胃腸機能を低下させ、食欲を落とし、身体を重だるくさせます。
 人間も自然界の変化に従って、適度に汗をかき、体内の陽気が皮膚を通じて外界に発散するように心がけるべきです。
この“陽気”をうまく発散しないと、身体は暑さを感じ始め、冷房や冷飲を好むようになり、これを夏中続けると下痢をするようになります。また、夏に陽気を発散しないと胸に熱がこもります。
 胃腸が冷えて胸に熱がこもると食欲不振や下痢になりやすくなるため、普段から苦味と酸味のものを適度に食べるのがよいとされています。苦味は心に入り、心の陰気を補い、涼血の働きと暑気を払う作用があります。
 甘味は湿気を助長し、多く食べれば脾(胃腸)を傷めるため、甘味は控えめにし、酸味を加えると、食欲が改善され、夏の倦怠感がとれます。

 

貝原益軒の「養生訓」でも
 「夏は、“陰気”が腹中に沈んでいるため消化が遅い。それゆえ、多く飲食してはいけない。温かい物を食べて胃腸を温め、冷水をできるだけ避けた方が良い。生もの、冷たいものは避けること。冷麺をたくさん食べないこと。脾胃(胃腸)が虚弱な人は、とりわけ下痢に注意すべきである。」としています。
 中国の古書の一つである「千金方」は「冬温かなることを極めず、夏涼しきことを極めず」と教えています。

 

 季節にあった養生を少しでも実践することで夏を上手に乗り切りましょう。
 どうしても難しいという方は漢方薬の力を借りるのも一つの方法です。店頭にてご相談ください。

(ポルタ店店長 佐藤直哉)


昭和堂薬局 | 2015年6月1日

 

「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」NHKスペシャル

 

 

 NHKスペシャル「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」が4月5日に放送されました。

 

 放送では、抑制性の免疫細胞であるTreg(Tレグ)について解説していました。T細胞という免疫細胞はいくつか種類があり、現在はTh1、Th2、Th9、Th17、Th22、Tregなどが解っています。その中で、Tregは、抗原特異的に免疫応答を抑制し、免疫寛容(無害なものに免疫応答しないこと)維持・過剰な免疫応答の抑制に働きます。Treg細胞は胸腺由来のnTreg(natural Treg)と消化管で誘導されるiTreg(induced Treg)があります。消化管では食べ物などに対して免疫寛容をし、人間と共生している腸内細菌を免疫的に無視するように働いていると考えられています。また、消化管においてグラム陰性菌のクロストリジウム属の細菌がTreg細胞を誘導していることがわかってきています。このクロストリジウム属細菌は、土壌中や動物の消化管などに成育している菌です。放送中にありましたアーミッシュの人達が原始的な生活の中で家畜の面倒を見ていることがTregが多かった理由に挙げていますが、家畜や土壌に多く成育するクロストリジウム属菌に多く接している環境だとも考えられます。しかし、現代社会で生きる我々はどうすればいいのだろうか?いきなりクロストリジウム菌を大量に浴びてしまうのは危険です。クロストリジウム属菌の中にはボツリヌス菌という危険な菌もあります。また、現在の日本の除菌ブームは異常に感じます。たしかに、食中毒を考えると、まな板や包丁などは清潔に保った方がいいと思いますが、布団などは消毒液を掛けて殺菌するのではなく日光に当てた方がいいと思います。宣伝にあるような吹き付けるタイプの消毒液は界面活性剤系の消毒液で、吹き付けた後水分が蒸発した状態で高濃度になった、この消毒液が皮膚粘膜に付着することは避けたいものです。

 

 放送中で、ピーナッツオイルが入ったスキンクリームを乳児の時に使っていてアレルギーになったことが紹介されていました。ピーナッツのアレルギーは皮膚でアレルゲンとして認識してしまいピーナッツアレルギーになることは有名です。日本でも「〇〇のしずく」という石鹸で小麦アレルギーになった人が出て話題になりました。その他、セサミオイル(ごま油)を使ってアレルギーになる人もいます。皮膚は本来、外界の刺激から守るバリアになっています。しかし、何らかの原因でこのバリアがうまく働かずに免疫に反応してしまい、それをきっかけにこれらのアレルゲンを含んだ食べ物を食べてしまいアレルギーを起こしてしまうのです。また去年、国立成育医療センターが親や兄弟にアトピーがある乳幼児のスキンケアでアトピー発症が3割減少したと発表しました。この皮膚のバリア機能を保つことでアレルギーを減らすこともできるのです。スキンケアをすることは正解なのですが、使用したものにアレルゲンになり得る成分が入っていたことでアレルギーになってしまったのです。

 

 NHKスペシャルでは、最新治療として花粉症に対する舌下免疫療法が紹介されていました。これは、少しずつ花粉を体内に入れることで激しいアレルギー反応を抑えつつ、花粉専門の制御性T細胞(Tレグ)を増やす治療法です。しかし、スギ花粉に対するアレルギーを抑えることはできる可能性はありますが、他のもののアレルギーに関して効果はありません。また、アレルギーの人は、Treg自体が少ないので、この舌下免疫療法をしても効果のない人もいます。

 

 今、自分の免疫を正常にしていくためには、腸内環境を整えて腸内細菌のバランスをよくし、腸管での免疫応答を正常にしていくことです。そのためには、バランスの良い食事を心がけ、食物繊維や発酵食品をしっかり摂り腸内環境を整えていくことです。また、病気全般に言えることですが、アレルギーや肥満、生活習慣病、自己免疫疾患、ガンなど様々な病気は慢性炎症が関係していることが解ってきています。その慢性炎症を少しでも抑えられる可能性のあるものが、ω-3系脂肪酸です。最近、健康番組でやっているαリノレン酸で亜麻仁油やえごま油に含まれます。現代人は炎症を起こす時に使われるリノール酸を多く摂り過ぎていることも慢性炎症を起こしやすくしているのです。

 

 少しでも食のバランスを考えて、病気が生まれない身体にしたいですね。
 どうしてもという方は、サプリメントなどの代用品もありますのでご相談ください。


昭和堂薬局 | 2015年4月13日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。

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